タイという国のすべて
THAI FLAG — COLORS & MEANING
タイ国旗について知っておきたい5つのこと
- タイ国旗は赤・白・青の5本ストライプで構成され、正式名称は「トライロング(ไตรรงค์)」
- 赤は国民と国土、白は仏教の純粋さ、青は王室をそれぞれ象徴している
- 現在の国旗は1917年、ラーマ6世によって制定された
- 3色は「国家・宗教・王室」というタイ社会の3本柱を表す重要な思想に基づく
- 旅行中にも街中で多く見かける国旗には、タイ人の誇りと敬意が込められている
タイ国旗とはどんな旗か
タイ王国の国旗は、赤・白・青の5本の横縞で構成されたシンプルかつ力強いデザインです。正式名称はタイ語で「トライロング(ไตรรงค์)」といい、「3色の旗」を意味します。
縞の並びは上から「赤・白・青・白・赤」の順で、中央の青が最も幅広く全体の3分の1を占めています。旗全体の縦横比は2対3と定められています。
一見するとシンプルな旗ですが、その3色にはタイ人の精神的な支柱となっている深い意味が込められています。
3色それぞれが持つ意味
タイ国旗の赤・白・青はそれぞれ独立した意味を持ちながら、合わさることで「タイ国家の根幹」を表しています。
赤 — 国民と国土の血
赤はタイに生きるすべての国民と、先人たちが守り抜いてきた国土への愛を象徴しています。「血と汗で築き上げた国家」という意味合いも持ち、タイ人の団結と誇りを表す色です。
白 — 仏教の純粋さ
白は仏教の純粋さと清らかさを表します。タイは国民の約9割が仏教徒であり、仏教はタイ社会・文化・日常生活の根幹をなしています。白い縞は、宗教という精神的な柱への敬意そのものです。
青 — 王室への敬意
中央の最も幅広い青は王室(チャクリー王朝)を象徴します。青は古くからタイの王室カラーとして用いられており、国民が王室に寄せる深い敬意と信頼の色です。国旗の中心に置かれていることにも、その重みが込められています。
赤=国家(チャート) 白=宗教(サーサナー) 青=王室(プラマハーカサット)
この3つはタイ社会を支える思想的・精神的な根幹であり、後のセクションでさらに深掘りします。
タイ国旗の歴史と変遷
現在のトライロングが制定されたのは1917年(仏暦2460年)のことです。制定したのはチャクリー王朝第6代国王、ラーマ6世(ワチラーウット王)。それまでのタイの国旗とは大きく異なる、シンプルで力強いデザインへの転換でした。
かつてのタイ(シャム)の国旗は、赤地の中央に白い象が描かれた「白象旗」でした。象はタイで聖なる動物とされており、王権と国家の象徴でしたが、旗の向きによって象が逆さになるなど実用上の問題もありました。
第一次世界大戦中、タイは連合国側に立って参戦しました。このときラーマ6世は、国際社会に向けて「タイは近代的な国家である」と示すため、シンプルで識別しやすい三色旗への変更を決断。赤・白・青の5本縞からなる現在のトライロングが誕生しました。
制定から100年以上が経つ現在も、トライロングは一切変更されていません。政変や政権交代を経ながらも、国旗だけはタイ社会の安定した象徴として守り続けられています。
3本柱の思想|国家・宗教・王室
タイ国旗の3色が象徴するのは、単なる「色のデザイン」ではありません。タイ社会の根底に流れる「チャート・サーサナー・プラマハーカサット」という3つの柱そのものです。
チャート
(国家)
タイという国家そのものへの愛と誇り。国民が一丸となって守るべき共同体を意味し、赤色がその血と誇りを象徴します。
サーサナー
(宗教)
タイ社会を支える仏教の教え。慈悲・無常・中道というブッダの教えは、日常のあらゆる場面に根付いており、白が純粋さを表します。
プラマハーカサット
(王室)
チャクリー王朝に対するタイ国民の深い敬愛。王室はタイ人の心の拠り所であり、青が中央を占めることでその中心的存在を表します。
この3本柱の思想は、小学校の教科書から政府の公文書まで、タイ社会のあらゆる場面で登場します。タイを旅していると、寺院・学校・官公庁など至るところで国旗と並んで王室の紋章が掲げられているのもこのためです。旗を見るとき、その背景にある「国民・宗教・王室への敬意」を思い浮かべると、タイという国の見え方が少し変わるかもしれません。
旅行中に国旗を見かける場面
タイを旅していると、日本では考えられないほど多くの場面で国旗を目にします。それはタイ人にとって国旗が単なる「シンボル」ではなく、日常の誇りそのものだから。どんな場面で見かけるか、あらかじめ知っておくと旅の解像度がぐっと上がります。
官公庁・学校の前
タイの政府機関・学校・警察署などの前には、必ずタイ国旗が掲げられています。毎朝8時と夕方18時には国歌が流れ、その場にいる人々は立ち止まって敬意を表します。観光中にこの場面に出会ったら、静かに見守りましょう。
王室記念日・祝祭日の街
国王誕生日(7月28日)や王妃誕生日(8月12日)などの王室記念日には、バンコクの主要道路や建物が国旗と王室の旗で埋め尽くされます。黄色い旗と青い旗が並ぶ光景は、タイならではの壮観な眺めです。
寺院の境内
多くの寺院では、仏旗(青・白・赤・橙・黄の仏教旗)とともにタイ国旗が掲げられています。国家と宗教が密接に結びついていることを、旗の並びからも感じ取ることができます。
タクシー・トゥクトゥクの中
個人の車やタクシーのミラーに小さな国旗を飾る習慣があります。王室の写真と並べて飾られていることも多く、運転手さんの誇りと敬愛がにじみ出る場面です。
- 国旗・王室の写真を踏んだり侮辱したりする行為は不敬罪に当たる可能性があり、外国人も適用対象です
- 国歌が流れている場面では、その場で立ち止まるのがマナーです
- 国旗・王室関連グッズを土産として購入する際は、丁寧に扱いましょう
似た旗との違いを知っておこう
タイ国旗と配色が似ている国旗は世界にいくつか存在します。なかでもよく「似ている」と言われるのがコスタリカの国旗です。旅行前に違いを把握しておくと、会話のネタにもなります。
- 縞の幅:赤1・白1・青2・白1・赤1
- 中央の青が最も幅広い
- シンプルなストライプのみ(紋章なし)
- 縦横比:2対3
- 縞の幅:青1・白1・赤2・白1・青1
- 中央の赤が最も幅広い
- 左側に国章(紋章)が入る版もある
- 縦横比:3対5
中央の色に注目するだけで一瞬で見分けられます。中央が青ならタイ、赤ならコスタリカ。色の並び順も逆(タイは赤が外側、コスタリカは青が外側)です。
FAQ|よくある質問
タイ国旗は上下対称のデザインのため、逆さにしても見た目はほとんど変わりません。これはかつての「白象旗」が逆さになると問題が生じたことへの反省から、ラーマ6世が意図的に対称デザインを採用した理由のひとつとも言われています。ただし、意図的に国旗を逆さにする行為は不敬とみなされることもあるため、旅行中は丁寧に扱いましょう。
観光記念として購入すること自体は問題ありません。ただしタイには国旗の使用に関する法律があり、破損した状態での掲示や不適切な用途への使用は禁じられています。土産として購入したミニ国旗などを丁寧に飾る分には問題ないとされています。
タイには「国旗の日(National Flag Day)」として9月28日が制定されています。1917年に現在のトライロングが正式に定められたことを記念した日です。この日は特別なイベントや式典が行われることがあります。
タイでは曜日ごとに守護色があり、現在の国旗を制定したラーマ6世(ワチラーウット王)が生まれた曜日である金曜日の守護色が青とされたことが由来とも言われています。また同盟国フランス・イギリスの三色旗に倣い青を採用した説もあります。いずれにせよ青は現在も王室・皇族と深く結びついた色として扱われています。
まとめ
タイ国旗「トライロング」は、赤・白・青という3色のシンプルなデザインの中に、タイという国の精神的な根幹が凝縮されています。
国民と国土
タイに生きる人々の血と誇り、そして先人が守り抜いた土地への愛情
仏教の純粋さ
国民の9割が信仰する仏教への敬意。タイ社会・文化を根底から支える精神的な柱
王室への敬愛
1917年の制定以来、変わらずタイ国民の心の拠り所であるチャクリー王朝の象徴
旅行中にタイ国旗を見かけたとき、この3色の意味を思い浮かべてみてください。バンコクの大通りに翻る旗も、寺院の境内に静かに立つ旗も、きっとひと味違って見えるはずです。
タイへの旅が、国旗のひとつひとつにまで想いを馳せられる
豊かな体験になりますように。
この記事が役に立ったらクリックお願いします 🙏

コメント