福島市・中野不動尊のひみつ見つけ
さあ、お不動さまのひみつを探しに行こう
三つ編みのような髪、片方だけ細めた目、ずっと燃え続ける火。お不動さまの姿には、ひとつひとつやさしい意味がかくれていました。福島で暮らす旅人Yoshiと、ひみつを探しに行きましょう。
- 拝観無料
- 洞窟めぐり
- 夜のライトアップ
- 飯坂温泉から車で約10分
この記事の要点
- お不動さまのこわい顔・三つ編みの髪・片目を細めた表情には、それぞれやさしい意味がある
- 中野不動尊は約840年の歴史をもつ、東北で昔から大切にされてきた「中野のお不動さま」
- 見どころは「消えない火」「三十六童子の洞窟めぐり」「不動滝」の3つ
- 夜は大日堂・寂光門・不動滝が色とりどりに照らされる
- 飯坂温泉とセットにすると、日帰りでも一泊でも満たされる旅になる
- 「がんばれなかった自分も許していい」と思える、心の荷物を下ろせる場所
中野不動尊と、お不動さまがこわい顔のひみつ
中野不動尊(なかのふどうそん)は、福島市の飯坂町にある曹洞宗のお寺です。地元では親しみをこめて「中野のお不動さま」と呼ばれています。東北では昔から「日本三不動のひとつ」と言い伝えられてきて、お正月には毎年たくさんの人がお参りに訪れます。
始まりは、いまから約840年前。恵明道人(えみょうどうにん)というお坊さんが、一匹のカモシカに導かれてこの山に入り、お不動さまをおまつりしたのがきっかけだと伝えられています。境内には「厄除(やくよけ)」「眼守(がんしゅ)」「三ヶ月(みかづき)」という3つのお不動さまがまつられています。
では、お不動さま(不動明王)はなんで怒ったようなこわい顔をしているのでしょう。じつはそれは、迷っている人を叱ってでも正しい道に連れ戻そうとする、強いやさしさのあらわれです。右手の剣は迷いを断ち切るため、左手の縄は迷う人をすくいあげるためのものだと言われています。片方の目を細め、もう片方を見開いた表情は「天地眼(てんちがん)」と呼ばれ、天も地も、すべてを見守っているという意味がこめられています。
実際にお不動さまの前に立って、いちばん目をひかれたのは長く垂れた髪の毛でした。まるで三つ編みのように編まれていて、思っていたよりずっと人間らしい姿に感じました。
あとで調べると、この髪型は「弁髪(べんぱつ)」と呼ばれ、人々に仕え、そばに寄りそう姿をあらわしているそうです。怖い顔の奥に、こんな思いがこめられていたんだと知って、ぐっと身近な存在になりました。
仏さまの「やさしさ」についてもっと知りたい方は、旅樂道のこちらの記事もあわせてどうぞ。
見どころは3つ|消えない火・洞窟・滝
境内はそれほど広くありませんが、見どころがぎゅっとつまっています。まずはこの3つを押さえておけば、満足度の高いお参りになります。
-
消えない火(不滅の燈明)
恵明道人がともしてから、ずっと燃え続けていると伝わる火。奥の院の洞窟の中で、今も赤々と灯っています。
-
洞窟めぐり
岩の中を進む小さな冒険。中には三十六体の童子さまがまつられていて、ひとつひとつ表情がちがいます。
-
不動滝
朱色の大日堂のすぐ横を流れる滝。見ているだけで頭の中がすっと静かになります。
このほか、朱色があざやかな大日堂や、境内の入り口でむかえてくれる寂光門も見逃せません。どちらも夜にはライトアップされ、昼とはまったくちがう表情を見せてくれます。
ジブリの世界みたいな洞窟めぐり
中野不動尊でいちばんワクワクするのが、この洞窟めぐりです。岩をくりぬいたような通路を進んでいくと、ところどころに童子さまの像があらわれます。童子さまは、お不動さまのお手伝いをする子どもの姿をした仏さまです。
2026年10月27日、紅葉がはじまった秋の日にお参りしました。洞窟に一歩入ると、外とは空気がまるでちがいます。うす暗い岩の通路、ぼんやり浮かぶ灯り、ひんやりした空気。まるでジブリ映画の世界に迷いこんだような気分でした。
気づけば、ひとつひとつの童子さまの顔をのぞきこみながら「本物探し」をするように夢中で進んでいました。大人になってから、こんなふうに夢中になれる場所はなかなかありません。子どもの頃の探検ごっこを思い出す、ふしぎな時間でした。
洞窟の中はせまく、足もとがでこぼこしている場所もあります。ゆっくり、まわりの人にゆずりあいながら進みましょう。写真撮影については、現地の案内に従ってくださいね。
お参りのしかたと、心が軽くなる理由
中野不動尊はお寺なので、神社のように手をたたく(拍手)必要はありません。むずかしく考えず、次の流れを目安にすれば大丈夫です。
- 門の前で軽く一礼してから、境内に入ります
- お堂の前でお賽銭を静かに入れます
- 胸の前で手を合わせ、目を閉じます(手はたたきません)
- 名前と住所を心の中で伝えてから、お願いごとをします
- 最後にもう一度、軽く一礼します
中野不動尊でお願いされることが多いのは、厄よけ・交通安全・家内安全・合格祈願など。車のお守りを求めて訪れる地元の人も多いです。
お願いすることは、
ひとりで抱えていたものを、手放すこと。
整理カウンセラーとして多くの方の「片づけ」と向き合ってきて思うのは、心の中も部屋と同じで、ものをため込みすぎると動けなくなる、ということです。
お不動さまの前で手を合わせる時間は、「できなかったこと」や「後悔していること」をいったん置いてくる時間でもあります。がんばれなかった自分も、許してあげていい。ブレない心は、自分を責め続けることではなく、自分を受け入れるところから生まれるのだと思います。洞窟を出て、滝の音を聞きながら深呼吸したとき、肩の力がふっと抜けたのをよく覚えています。
いつ行く?季節ごとの楽しみ方
中野不動尊は一年中お参りできますが、季節によって楽しみ方が変わります。行く時期を決めるときの参考にしてください。
| 季節 | 楽しみ方 |
|---|---|
| 冬〜お正月 | 初詣は例年たくさんの人でにぎわいます。臨時の駐車場からシャトルバスが出ることもあります |
| 2月〜3月 | 2月中旬〜3月中旬の「歳祭り」では、冷たい水をかぶる修行(水行)が行われます |
| 春〜夏 | 新緑に朱色のお堂がよく映えます。滝のそばは夏でもすずしく感じます |
| 秋 | 紅葉と朱色の組み合わせが見事。筆者が訪れた10月下旬は色づきはじめでした |
2023年からは、夜に大日堂・寂光門・不動滝がライトアップされるようになりました。昼の落ち着いた雰囲気とは打って変わって、幻想的な景色が広がります。飯坂温泉に泊まる日なら、夕食前に立ち寄るのもおすすめです。
秋〜冬は門が閉まる時間が早くなります。10月は17:00、11月は16:30、12月は16:00に閉まるので、午後に行く場合は早めに着くようにしましょう。ライトアップの日時も、事前に電話で確認しておくと安心です。
行き方と、行く前に知っておきたいこと
中野不動尊は、飯坂温泉からさらに山のほうへ入ったところにあります。車で行くのがいちばん便利ですが、電車とタクシー、バスでも行けます。
| 住所 | 福島県福島市飯坂町中野字堰坂28 |
|---|---|
| 電話 | 024-542-2100 |
| 時間 | 8:30〜17:30(10月は17:00、11月は16:30、12月は16:00まで) |
| お休み | なし |
| 拝観料 | 無料(境内自由) |
| 駐車場 | あり(無料・複数か所) |
| 車で | 東北道「福島飯坂IC」から約10分/東北中央道「福島大笹生IC」から約5分 |
| 電車で | JR福島駅から福島交通飯坂線で終点「飯坂温泉駅」へ。そこからタクシーで約10分 |
| バスで | JR福島駅から福島交通バス(中野行き)で「堰場」下車、歩いて約5分 |
※時間などは変わることがあります。お出かけ前に公式情報やお電話で確認してください。
行く前に、次の3つを準備しておくと快適です。
-
歩きやすい靴
境内は階段や坂が多く、洞窟の足もとも平らではありません。
-
羽織るもの
山の中で洞窟もあるので、街中よりひんやりします。特に秋以降は一枚あると安心です。
-
小銭
お賽銭やお線香、ろうそく用に。茶屋で使う現金も少し持っておくと便利です。
茶屋のきつねそばと、飯坂温泉めぐり
お参りのあとは、境内にある茶屋「かもしか庵」でひと休み。お店の名前を見ると、恵明道人をこの山に導いたカモシカの言い伝えを思い出します。
注文したのはきつねそば。運ばれてきて、まず驚いたのがお揚げの大きさと厚みです。これまでいろいろな場所できつねそばを食べてきましたが、こんなに大きくて分厚いお揚げは初めてでした。
かじるとじゅわっとおつゆがしみ出して、ひんやりした洞窟を歩いたあとの体がじんわり温まります。お参りのあとのこの一杯まで含めて、中野不動尊の思い出になりました。
おなかが満たされたら、車で約10分の飯坂温泉へ。奥州三名湯のひとつに数えられる歴史ある温泉地で、町のあちこちに共同浴場があります。中でも「鯖湖湯(さばこゆ)」は飯坂でいちばん古い歴史をもつ共同浴場で、明治時代の湯小屋を再現した建物が旅情をさそいます。お湯はかなり熱めなので、ゆっくり体をならしてから入りましょう。
日帰りで楽しむなら、こんな流れがおすすめです。
- 10:00福島飯坂ICから中野不動尊へ
- 10:15寂光門をくぐってお参り。大日堂と不動滝を見る
- 11:00洞窟めぐりで「消えない火」と三十六童子に会う
- 12:00茶屋「かもしか庵」できつねそばのランチ
- 13:30飯坂温泉へ移動し、鯖湖湯で日帰り入浴
- 15:00温泉街を散歩して、季節のくだものをおみやげに
一泊できるなら、夕方に中野不動尊のライトアップを見てから、飯坂温泉の宿でゆっくり過ごすのがいちばんぜいたくな過ごし方です。
もう一か所、福島の温泉に足をのばすなら、こちらもどうぞ。
公式の観光情報は、こちらから確認できます。
よくある質問
拝観料はかかりますか?
境内は自由にお参りでき、拝観料はかかりません。お賽銭やお線香、ろうそく、お守りなどは別にご用意ください。
洞窟めぐりはどれくらい時間がかかりますか?
童子さまを一体ずつ見ながらゆっくり進んでも、それほど長い時間はかかりません。境内全体をのんびり回るなら、1時間〜1時間半ほど見ておくと安心です。
ライトアップは何時から見られますか?
日が暮れてから、大日堂・寂光門・不動滝がライトアップされます。実施する日や時間は変わることがあるので、行く前に中野不動尊(024-542-2100)へ確認するのがおすすめです。
車がなくても行けますか?
行けます。JR福島駅から福島交通飯坂線で飯坂温泉駅まで行き、タクシーで約10分です。福島駅から中野行きのバスに乗り「堰場」で降りて、歩いて約5分という行き方もあります。
境内で食事はできますか?
境内に茶屋「かもしか庵」があり、そばなどで休憩できます。筆者は大きくて分厚いお揚げがのったきつねそばをいただきました。
お正月は混みますか?車はとめられますか?
初詣の時期はとても混み合います。特に大みそかの夜から元日の深夜、1月1日〜3日の日中がにぎわいます。お正月は臨時の駐車場からシャトルバスが出ることもあるので、最新の案内を確認してからお出かけください。
まとめ
- お不動さまのこわい顔は、迷う人を守ろうとする強いやさしさのあらわれ
- 中野不動尊は、約840年前から続く「中野のお不動さま」
- 消えない火・三十六童子の洞窟めぐり・不動滝は必ず見ておきたい
- 夜のライトアップで、昼とはちがう幻想的な景色に出会える
- 茶屋の分厚いお揚げのきつねそばと、飯坂温泉までがひとつの旅
- 秋〜冬は閉まる時間が早いので、早めの到着がおすすめ
こわい顔の奥にやさしさがあり、三つ編みのような髪で人々のそばに寄りそうお不動さま。知れば知るほど、お参りがぐっと楽しくなります。洞窟の中でジブリの世界にいるようにワクワクし、滝の音を聞いて深呼吸したとき、心の荷物がひとつ軽くなった気がしました。ブレない心は、自分を許すことから。がんばっている自分にひと息つかせてあげたいとき、ぜひ中野のお不動さまに会いに行ってみてください。
この記事が役に立ったらクリックお願いします 🙏

コメント